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低コストで信頼高めるHPに!百年企業目指す次世代戦略
鋼材をはじめ住宅設備や工具など、さまざまな資材を扱う三共鋼材株式会社は、創業70年の総合商社だ。鈴木力社長は、「お客さまからの声にお応えすること」がモットーだと語る。AI時代だからこそ人にしかできない対話力が問われているいま、欠かせないのが人材戦略。人手不足が深刻化し、働き方改革が必須の時代となるなか、鈴木社長はHPを上手に活用した生き残り戦略を描いている。
──事業内容は?
鈴木 静岡県東部を中心に、亜鉛メッキやステンレスなどの鋼材を主力商品として取り扱ってきた総合商社です。近年、お客さまからのニーズにお応えする形で、鋼材に限らず住宅設備や電材・工具・空調資材などあらゆる商品をお届けしています。とくに住宅設備のウエートが高まってきています。
──強みは?
鈴木 堅実な経営と真摯(しんし)な仕事です。おかげさまで父の代で創業した会社も70周年を迎えました。時代が大きく変化するなかで生き残れたのは、将来のマーケットがどのように変化するのかを常に見据え、お客さまの声に柔軟に応え続けてきたからにほかなりません。
また、15年来のお付き合いである税理士法人トップさんの指導のもと、TKCシステムを活用した経営数値の見える化に取り組んでいます。信頼性の高いシステムを使うことで、年間計画や5カ年計画など長期的な視点での経営ができていることが当社の自慢です。これは取引先さまからの信頼にもつながっていると思います。
──今後、注力すべきことは?
鈴木 社員に「三共鋼材株式会社で働き続けたい」と思ってもらえるよう、賃金体系や働き方を整備していくことです。私が社長就任当初は、売り上げ拡大ばかりに固執していました。ですが近年は、人材確保という視点から働きやすい環境が整っていなければ、どんなビジネスも成り立たないと感じています。おかげさまで現時点では、人材不足を感じることはそれほどありません。ただ、いざ「人を採用したい」と思ったときに、働き手から選ばれる環境がなければ苦労するのは目に見えています。しっかりと社員のことを考えた経営を続けていくべきです。
三共鋼材株式会社
設 立 1957年5月
所在地 静岡県駿東郡清水町伏見384
しっかりと社員のことを考えた経営を実践
──HP刷新の狙いは?
鈴木 以前から、税理士法人トップさんのご紹介で、アイ・モバイル社が提供するHPサービスを利用していました。社会的に「働きやすさ」が訴求されるなか、もっと社内のリアルな姿を発信する場でなければいけないと考え、リニューアルを決意しました。また、取引先を広げるうえでもHPは必須です。遠方の仕入先に、当社のことを知ってもらうためにはHPの存在が大きいと感じています。与信チェックの一環としてHPを確認されることもあるでしょうから、おろそかにしてはいけない発信ツールです。
──HPを刷新する際に大切にしたことは?
鈴木 HPと現実との間で、情報やイメージのギャップが生じないように「ありのまま」をとにかく大切にしました。写真をできるだけ多く掲載したのも、社風や普段の様子を知っていただくためです。
デザイン面では、あまり凝らずにシンプルかつ分かりやすさを重視しています。昨今は、HPに数百万円のコストをかけて詳細な動画や凝ったデザインのものにする企業も多く目にします。もちろんそれは戦略の一つとして正しいのかもしれません。ですが、当社としては見た目のかっこよさやイメージよりも、HPを訪れてくださった方が使いやすく、必要な情報にたどり着きやすいデザインにするほうが重要でした。具体的な例を挙げると、当社のHPには取り扱いメーカーを一覧で記載しています。これは、お客さまが必要な商品の詳細をメーカーHPで確認する際に、当社のHPをインデックスとして活用いただきたいという思いからです。
──採用情報ページが充実していますね。
鈴木 おかげさまで現在、人材採用には苦労していませんが、布石はしっかり打っておきたいと考えました。そのために、社内の様子が分かる写真とともに、職種ごとに社員のインタビューを掲載しています。インタビューでは、私はできるだけ関与せず、社員に思ったままを話してもらいました。応募者を増やすために、現実以上に良く見せようとすると、採用後にミスマッチにつながるリスクがあるので、採用ページでも「ありのまま」を意識しました。
──制作において感じたことはありますか。
鈴木 以前使っていたシステムよりも見やすく、デザインの選択肢が増えたと感じています。分かりやすく使いやすいHPにしたいという当社の思いをくみ取り、デザインや構成もあらかじめ提案してもらえたのでスムーズにリニューアルできました。
──今後の活用はどのように?
鈴木 HPは生き物であり、情報をこまめに更新しなければなりません。例えば、展示会を開催したら、開催後に御礼のメッセージをHPに掲載することで、当社の取り組みや姿勢を発信しています。コツコツと更新を続けることで、会社の雰囲気がHPからもにじみ出て、採用においても応募者の理解につながるのではないでしょうか。
──運用面での課題は?
鈴木 定期的に更新したい反面、社内のHP担当者が「何を発信すればいいのか」と迷うこともあるようです。しかし、「花壇の花がきれいに咲きました」という内容でも良いし、とにかくアップすることが重要だと思っています。たとえ文章が思いつかなくても、写真だけでもアップしていこうと担当者に声をかけています。今のHPはスマートフォンで撮影した写真を気軽にアップできますから、更新頻度を高めたい当社の意向にマッチしていると感じています。
株式会社TKC協賛によるBS11特別番組「ドキュメント戦略経営者~未来を切り拓く経営者と税理士の挑戦~」に出演しました!
株式会社TKC協賛によるBS11特別番組「ドキュメント戦略経営者~未来を切り拓く経営者と税理士の挑戦~」に当事務所のお客様である株式会社長野製作所様、そして関与税理士として税理士法人トップ(所長 岩瀨貴之、会長 齋藤保幸、監査課長 齋藤亮介)が出演しました。
テレビで放映された映像が、YouTubeにて配信されています。
是非ご視聴ください。
静岡県沼津市で自動車用ブレーキ配管のナットなど、高精度な金属部品を手がけている株式会社長野製作所。現在国内シェアの70%以上を占めています。しかし、ここまでの歩みは決して平坦ではありませんでした。アメリカや中国、インドに進出し、海外子会社を含めた業績管理の徹底で世界の自動車産業を支える取り組みをご紹介します。
「丹那」を旗印に地域の価値向上にまい進
伊豆半島の北に位置する丹那盆地で生産される「丹那牛乳」。産地として140年の歴史を有し、学校給食でも供されるなど静岡県東部で暮らす人々にとって、なじみの深い商品だ。「丹那ブランド」普及の原動力となっている酪農王国オラッチェを訪れた。
オラッチェは、レストランや動物とのふれあい広場、売店等からなる観光牧場である。函南(かんなみ)東部農業協同組、函南町などの出資により設立され、「食の安全・安心」をテーマに1997年に開業した。関東圏からの観光客を中心に、年間20万人超が来園する。看板商品は生乳仕立てのソフトクリームだ。搾乳後最短8時間で販売されるとあって、新鮮かつ濃厚な味わい。ゴールデンウイークや学校の夏休み期間中の売り上げは、1日2000個にせまる。
ヨーグルトやバウムクーヘン、サブレ等オリジナル商品も充実しており、園内で販売される大半の食品に丹那牛乳を用している。丹那牛乳で特筆されるのは、栄養価と鮮度の高さ。「函南町の基幹産業は酪農業で、直径4キロの丹那盆地に9戸の酪農家が800頭ほどの乳牛を飼育しています。産地の特徴は、酪農家と工場が近接しているところ。雑菌が少な状態で新鮮な生乳を加工できるのが大きな強みです」とは西村悟社長の話。生乳は運搬時間を要するほど酸化し、風味が劣化してしまうのである。
西村悟社長
酪農王国株式会社
設 立 1996年6月
所在地 静岡県田方郡函南町丹那349-1
売上高 6億5000万円
社員数 19名
会計システム FX2クラウド
70年前から変わらない「丹那」のロゴマーク
食品商社出身の西村氏が酪農王国に入社したのは2001年にさかのぼる。園内で飼育している動物の世話から商品販売、営業活動にいたるまで、業務を精力的にこなしてきた。ただ、入社当時の雰囲気は現在と様相を異にしていた。
「オラッチェの売店で店番をしていてもお客さまが1日に数人しか来なかったり、売り上げが千円に満たなかったりする日もありました。開業2年目以降赤字続きで、近隣の酪農家の皆さんから白い目で見られていたと思います。社内には現状をよしとするムードが漂い、新たな試みを提案しても反対されるのが常でした」
従業員の人件費はもちろん、商品の在庫管理、動物のエサ代など施設の運営維持費はばかにならない。営利事業体として存続させるには、柱となる収入源を確立する必要があった。危機感を覚えた西村氏は、オリジナル商品の卸販売に乗りだす。
「われわれの足元を見つめなおすと、地域資源に恵まれていることがわかりました。ヨーグルトやチーズといった乳製品もあるし、ビールもある。それと丹那牛乳の持つネームバリュー。静岡県東部や神奈川県の人々にとって、その名は知れ渡っています」
西村社長の言うビールとは、オラッチェ敷地内の醸造所で製造している地ビールのこと。盆地ならではの吹きおろしの風にちなんで「風の谷のビール」と命名した。富士箱根山系の天然水と地元産の大麦、オーガニックモルトを使用しているのがこだわりで、「有機農畜産物加工酒類」の認証も取得している。
園内の入場料、駐車場代ともに無料
売店では食品から雑貨まで幅広く扱う
チェコ、ドイツなどのオーガニック原料を使用してつくられる「風の谷のビール」
西村社長は前職で培ったフットワークを武器に、丹那からほど近い熱海、箱根地域の旅館、ホテルに営業攻勢をしかけた。
風の谷のビールの客室への常備と、売店での販売を提案。さらに、丹那牛乳を原料に用いたバウムクーヘンをはじめとする菓子食品を考案して、食品工場に製造を委託した。パッケージには、丸みを帯びた丹那牛乳の文字をあしらい、丹那ブランドを前面に打ち出している。
「丹那牛乳のロゴマークを付けると、よく売れるんです。営業先の担当者が話を聞いてくれたのも、丹那牛乳のブランドがあればこそ。おかげさまで、スーパーやコンビニエンスストアにも販路を開拓できました」
丹那牛乳がいかに地域住民から愛されているかを物語るエピソードがある。新型コロナ流行時、学校が休校となり給食が提供停止となった際、丹那牛乳は一滴も廃棄されなかったという。
「地元の皆さんがパック牛乳を積極的に購入して応援してくれました。近隣の企業さまも、数多くの菓子食品を注文してくれたおかげで、商品を一切廃棄せずにすみ、とてもありがたかったです」
同社の経営を15年以上サポートしつづけている税理士法人トップの岩瀨貴之税理士は「西村さんが社長に就任したのは21年のコロナ禍。一時期はコロナによる臨時閉園となり会社の行く末が危ぶまれましたが、販売価格の見直しや人員配置などにより、昨年から2年連続で黒字決算を達成されています。西村社長のリーダーシップと柔軟な発想のたまものです」と指摘する。「丹那」のブランド力を高めつつ、自社の成長の源に活用している酪農王国株式会社。山あいの小さな観光牧場は、一番の書き入れどきを迎えようとしている。